///  賀茂ナス  ///

本文は「京の住人たよりVol.86 (02/06/23)」よりの転載です。
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 ”賀茂なす”はこれからが旬で美味しくなります。
五月頃から料理屋では揚げ物として登場しますが、その頃の
賀茂なすはハウス栽培です。なんと云っても賀茂なすは夏の野菜、
鱧と並んでこれからの味です。

伝統野菜としての茄子は、「山科なす」、「もぎなす」、そして
「賀茂なす」と三品種が指定されていますが、多分、市場に出回って
いるのは賀茂なすが主だと思います。

山科なすは味も歯切れも良かったらしいのですが、如何せん朝に
もいだ茄子の表面が昼頃には褐色に変色してしまうと云う欠点が
あったそうです。
もうひとつの「もぎなす」も味は良いけれど少し固くて敬遠され
そうこうしている内に味も良かった”賀茂なす”に取って代わ
られたようです。

賀茂なすの別名は大芹川、かつての産地だったと目される芹川と
云う地名が京都市南部の下鳥羽に残ります。その後、洛東河原と
云うから、現在の左京区吉田、田中辺りの茄子が美味いとの記述も
残り、この茄子が上賀茂に入るのは明治頃のようです。
このような経緯をたどり今では上賀茂が”賀茂なす”の一大産地に
なっています。
濃い紫色で、ヘタの下は白く、
「三へた」と云って三片に
分かれることが多く、直径は
12〜15cmの丸形、 重さは
250〜350g、時によって500g
近くの茄子になることもあり
ます。肉質は緻密で加熱
しても形が崩れにくい特徴
があります。
何と云っても田楽にするのが
最高、どちらかと云えば
赤みそが合うかな。ほかに
揚げても美味しい”賀茂なす”
です。旬の京野菜、京都の
ちょっとした料理屋、居酒屋
などでも一品料理として
楽しめると思います。

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